一般社団法人 日本国際医療協力センター

提携病院Hospital

東京放射線クリニック

X線を使用した放射線治療は多方向から照射することで、周囲にある正常細胞に当たる線量を最小限に抑え、かつ、がん腫瘍に対しては最大限の線量を当てることができる。副作用を軽減した、優しい治療法で放射線治療が困難であったがんにも有効。治療期間が短く(1週間程度)、小さい副作用で、高い治療効果が収められる。

専門分野

ガン早期診断、乳がん治療、大腸がん、最新型放射線治療、胃がん、胆嚢がん、食道がん

治療特色

X線の特性

放射線の種類

がん治療に利用されている放射線は、大きく分けて光子線と粒子線の2つがあります。光子線とは、光の仲間で波長の短い高エネルギー電磁波の一種です。そのうちX線やガンマ線などが放射線治療に利用されています。当クリニックで行っている高精度放射線治療は、X線を使用した放射線治療です。

一方、水素の原子核(陽子)や炭素の原子核などの粒子を光速に加速した放射線(陽子線、重イオン線)を粒子線といい、粒子線を利用した放射線治療を「粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療)」といいます。

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X線治療

X線は身体の深部になるほど線量は弱くなりますが、実際のX線治療においては多方向から放射線を当てることで正常組織への線量を最小限に抑えつつ、がんに対する線量の集中性を高めています。

さらに、高精度放射線治療であるIMRT(図)では、放射線の強度を変えることができるため、より複雑な線量分布を作ることが可能です。

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X治療の照射方法

放射線を当てる方向を増やしていく毎に、赤く表示された高い線量がピンポイントになっていくとがわかります(1 – 7方向)。つまり放射線治療装置の角度を変えて多方向から照射することで、周囲にある正常細胞に当たる線量を最小限に抑え、かつ、がん腫瘍に対しては最大限の線量を当てることができます。高精度放射線治療のSBRTでは寝台(右図)も動かすことで、よりピンポイントに高い線量の放射線が当たるようになっています。

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IMRTの特徴

IMRT(強度変調放射線治療)は、色々な方向から放射線をがん腫瘍に当てるときに、ぞれぞれの方向からの放射線の量を変化(放射線の強さに強弱をつける)させます。放射線の量を変化させることで、がん腫瘍の形が不整形で複雑な場合や腫瘍の近くに正常組織が隣接している場合でも、多くの放射線をがん腫瘍に当てることが可能です。つまり、周囲の正常組織に当たる放射線の量を最小限に抑えながら、がん治療を行うことができます。

副作用を軽減した、優しい治療法

多方向から強弱をつけた放射線をがん腫瘍部分に集中して照射することにより、正常な細胞の損傷を最小限に抑えながら、理想的な放射線量を得ることが可能です。
例えば、従来の放射線治療の前立腺がんの治療であれば、頻尿や排尿困難、直腸出血などがありますが、IMRTの場合、周囲の正常組織への線量を下げられるという利点があるため、副作用を減らすことができると期待されています。

放射線治療が困難であったがんにも有効

従来の放射線療法では、前立腺がん、頭頚部がん、脳腫瘍の領域において、正常組織にも多くの放射線が当たってしまうことから、がん腫瘍部分に多くの放射線を照射することが困難でした。しかし、IMRTにより正常細胞を傷つけずにがん腫瘍に集中して放射線を照射することが可能になりました。

SBRTの特徴

SBRT(体幹部定位放射線治療)の主な適応疾患は肺がん、肝がん、脊椎および傍脊椎領域です。特に早期の肺がん※では、外科的手術と比較しても同等といえる良好な生存率となっています。
SBRTは、従来の放射線治療と違い3次元的に多方向から放射線をあてる治療です【写真1】。多くの放射線(通常の放射線治療では1日2Gyですが、SBRTでは5Gy~12Gy)をがん腫瘍に対してピンポイントに当てることが可能なため、治療効果が高く、大きな副作用はありません。また、実際に放射線を当てる期間は1週間程度であるため初回診察から約2週間程度で治療が終了します。もちろん、治療中に痛みなどの苦痛は伴わず、入院の必要はありません。

副作用は小さく、高い治療効果

3次元的に多方向から放射線をがん腫瘍部分にピンポイントに照射することにより、正常な細胞の損傷を最小限に抑えながら治療が可能です。
例えば、肺がんの治療であれば、正常な肺に多くの放射線が当たらないようにしてがん腫瘍に大線量の放射線をあてることができます。数ヶ月後に、治療したがん腫瘍の周りに肺炎が出現しますが、咳や呼吸苦などの症状が出ることは稀です。その他には、大きな副作用は見られません。

十分な放射線を当てれば80%以上の治療の効果

治療後は定期的にCT検査を行い、がんが増大していないか確認する必要があります。がんが小さく十分な放射線をあてることができる場合は、80%以上で効果が見られます。

治療期間が短い(1週間程度)

外科的手術と比較して低侵襲であり、身体への負担がほとんどありません。また他の治療と比較して、格段に治療期間が短いです。

粒子線治療

ある深さにおいて最も強く作用し(ブラッグピーク)、また一定の深さ以上には進まないという特性があります。そのため陽子線や重粒子線はがんに線量を集中させるという点において優れているといえます。

日本では(独)放射線医学総合研究所が1979年に陽子線治療を、1994年に重粒子線治療に関する臨床研究を開始。
現在、日本に13か所(重粒子線:4か所/陽子線:10か所 うち1ヵ所はいずれも対応)の粒子線がん治療施設があります。
登録患者数は年々増加傾向にあり、H26年度までの合計で26,258人となっています。

院内名医

柏原 賢一

医学博士、東京放射線クリニック院長。1982年に京都府立医科大学を卒業。1993年より徳島大学医学部放射線医学教室講師。その後にハーバード大学とMGH/Washington大学にて研修。1997年愛媛県立中央病院放射線科部長に就任。2008年4月より東京放射線クリニック院長に就任。 日本医学放射線学会放射線科専門医、日本放射線治療学会認定医、日本核医学会認定医、PET認定医、日本がん治療認定医機構認定医。 米国放射線腫瘍学会(ASTRO)会員、北米放射線医学会(RSNA)会員。